マタニティマーク認知率の低さに思う~日本人としての品格を忘れてはならない~

マタニティマークの認知率が低いらしい。
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女性でもマークと意味と名称が一致した人が半数ちょっと、男性は認知率が3割を切るという致命的な状況だ。


数ヵ月前まで妊婦だった私は、出産2週間前までフルタイムで勤務していたため、朝晩のラッシュに揉まれながら通勤していた。
朝は途中まで夫と一緒の通勤だったし、帰りは比較的空いている路線だったのでギリギリまで働けたと思う。

本当はもう少し早く産休に入りたかったのだが、今春からの消費税引き上げに関する様々な処理と決算が重なり、毎日残業をしても休みの目処がつかなかったのだ。


帰宅時間は多少バラけるため、それほどの混雑ではなかったが、朝はみんな同じような時間に出勤するため、なかなかの混雑で、いつも夫が盾になってくれて守ってくれたが、優先席に立っていても席を譲ってくれる人は殆どいなかった。

ある日などは、優先席の前に妊婦が3人並んだときがあったのだが、誰一人譲ってはくれなかった。


私は超高齢出産のため、不安要素がいろいろあったのだが、マタニティマークに気付いた途端、寝たフリをする人達相手に、何かを思ってイライラするほうが、お腹の子にも自分にも良くないと思い、そういう人達を見る度に、夫と「このマタニティマークって、見るだけでそんなに眠くなるんだね。」とよく笑い話にしていた。


笑い話にでもしないと、怒りが爆発しそうだったからだ。


私の出身地の地方大都市では、どんなに混んでいても、朝のラッシュ時でも、優先席はほとんど空席で、本当に肉体的弱者しか座っていなかった。
健康体なのに優先席に座るなんて、とても恥ずかしい事だった。席を譲ってもらうこともなかった。だって、いつも空いていたから。

上京して驚いたのは、平気な顔をして優先席に座り、寝たり、携帯をいじる人を見たことだった。

確かに地方都市の地下鉄とは乗車時間が違う。通勤に1時間以上かかる人は珍しくない。乗降客数も比較にならない。
でも、優先席に座ったということは、肉体的弱者が近くに来たら席を譲らなければならないのだから、席で目を閉じることは許されない事ではないのか。

席で眠りたいなら普通の席に行くべきで、どうしても優先席に座るなら、常に周りに気を配るべきではないだろうか。


数年前に足を怪我して、数ヵ月の間松葉杖とギプスで通勤していた時も、優先席の前に立っていても席を譲ってくれる人は殆どいなかった。
その時も目の前に座る人を見ながら、松葉杖を無視するなんてどういう神経をしているのだろうと、不思議でしかなかった。


もちろん、譲ってくれる人もいた。
優先席前に立っていたのに、普通席から大声で「そこの妊婦さん、こっちきて座りなさい」と声をかけられたこともある。
でも、それは少数派だ。


今回のマタニティマークの認知率をみて、だから席を譲ってもらえなかったのかな。とも少しは思うが、お腹が大きくなり、誰の目から見ても妊婦とわかるような時も譲ってもらえなかったのだから、認知率の低さだけの問題ではないと思う。


席を譲る譲らないの話だけではない。
考えられない話だが、マタニティマークをつけているが故の危険や、嫌な思いをする事もたくさんある。

わざとお腹を押されたり、足をかけられて転んだ上「妊娠したからって威張って歩くな」と言われたり、舌打ちされながら席を譲られたり、そんな話はネットを見てるとたくさんある。


デカイ腹で電車乗ったら、その分車両が混むんだよ。
邪魔だからラッシュ時に乗ってくんな。
譲ってもらって当然と思うな。
どうしても座りたかったら始発駅まで戻って席を確保しろ。こっちはそうして席を確保してるのに、なんで好きで妊娠した奴に席を譲らなければならないんだ。

ネットでのやりとりを見ていると、悲しくもあるし、恐ろしくもある。だからマタニティマークをつけない妊婦もたくさんいる。
言葉を含む暴力の標的になるからだ。
そんなバカな話があるのだろうか。

私も、出勤時に優先席の前に立っていたら、目の前の人が席を立ちがてら、「夫の稼ぎだけで生活できないなら子供なんて作るなよ!」と、吐き捨てるように言われた事がある。
私がギリギリまで働いたばかりに、一緒に通勤してくれた夫に嫌な思いをさせることになって、悔しくて悔しくて、目の前に空いた席に座りたくなかったが、夫が「少しでも座らないとダメ」と言うので、涙をこらえながら座った。

少子化の今、子供は宝なのに、なぜこんな思いをしなければならないのか。
児童手当なんかより、こんな社会や風潮をどうにかしない限り、少子化が解消されることはない。
と、幾度となく思った。


6月のワールドカップの時、ゴミを持ち帰る日本人サポーターに、世界中の人が絶賛してくれた。
日本を観光した外国人が、列にきちんと並んだりするマナーに感動する話もよく聞く。


私達は規律を重んじ、お互いを思いやり、道義心が高い誇り高き日本人ではないか!!


それなのに、何故こんなにも優先席のマナーが悪いのか。何故こんなにも妊婦や子連れに冷たいのか。

2020年には東京オリンピックで多くの外国人が東京にやってくる。
その時に、こんな恥ずかしい状況を見せてはいけない。

今回の報道で、少しでもマタニティマークが浸透し、子育てのしやすい日本になってくれることを切に願う。

ちなみに、優先席の前に立ちたくても、混んでいてそこまでたどり着けない事がよくあった。
優先席の近くは、席を必要としている人が辿り着けるよう、なるべく通路も空ける必要があるので、これを読んだは人は少しでも心がけて欲しい。