スカンク夫は治らない

私の夫はスカンクだ。

時と場所を選ばず、プーとかブーとか音を出す。
所謂オナラだ。

「あ、出る」と、言い終わらないうちにブッ。
夫を呼ぶと返事の替わりにプー。
自由自在にガスを出し、そして全く悪びれない。
むしろ、憎めないほどのカワイイ満面の笑みを浮かべる。

車という密室でされた日にゃ最悪だ。
前触れもなくプゥーと音がして、私と娘が慌てて窓を開けるものの、狭い密室ではあっという間に臭いは充満し、しばし息を止めなければならない。
臭いの発生源の夫は「くっさ!ねぇ、今日のくっさいね」等と楽しそうに同意を求める。
自分でも臭いと思うなら、周りはもっと臭いから(怒!)


夫とは同じ会社に勤めていたのだが、会社での夫は爽やかなスポーツ青年で、周りのくたびれたリーマンからは完全に浮いており、年上のお姉様方はもちろん、おじさまにも随分可愛がられていた。

初めてオナラを聞いた時は、ちょっとビックリしたのだが、会社ではオナラなんてしたコトないですみたいな顔してるけど、私の前ではリラックスしているんだ。などと微笑ましく思ってしまい、笑って済ましているうちに、彼の中では自由にガス放出可能な人と思ったのか、ところ構わずブーブーするようになった。

ただし、食事中のオナラはいただけない。
それだけは何度も止めるようお願いをしているのだが、夫曰く「上からご飯が入ってくるんだから、押し出されて出ちゃう」らしい。
そんなバカな。

一応ゴメンナサイと棒読みで言うときもあるのだけど、生理現象で我慢は体に悪いから、全く悪いとは思ってないので気持ちはこもってない。

もちろん私もオナラが出るけれど、夫のオナラ量はハンパない。よくもそれだけブーブー出るものだと感心してしまう。
そんなに家でオナラが出るのに、会社ではしたくならないのか聞くと、外ではひたすら我慢しているそうだ。
実家にいるときも母親に怒られるから、グッと我慢していたらしい。

そう聞くと、家族のために頑張って働いているのだから、家の中でくらい自由にガス放出させてあげればいいのかな。と思ってしまう。

上の娘とは、握りっぺを通してコミュニケーション(?)をとっているみたいだし(娘はアリエナイ!と言いながらベシベシ夫を叩いているが、夫と娘はとても仲が良い)、夫のオナラで笑いが生まれているのは否定できない。

ただ、春に次女が産まれたので、食事中だけは何としても勘弁願いたいのだが、今朝も茶碗を持ちながら片尻を上げ「プッ」として、何事もないような顔をしている夫を見ると、到底無理だろうなと、今から諦めモードな私なのである。